Tone Partner: Big Hairy Guitars

トーン・パートナー:Big Hairy Guitars

Tone Partner紹介シリーズ、今回はBig Hairy GuitarsのMichael Nielsen(マイケル・ニールセン)氏です。

プロのミュージシャンとしてのバックグラウンドや、80年代・90年代のギタープリアンプを収録した「TONEX Collections」を制作した経緯についてお話を伺いました。これらのコレクションは、ToneNETにてデモ試聴および購入が可能です。詳細はこちらから。

Big Hairy Guitars(Michael Nielsen)の詳細はこちら:

IK Multimedia(以下IK):80年代・90年代の往年のプリアンプを基にしたコレクションをいくつも制作されましたね。なぜこれらのプリアンプを選んだのですか?

Michael Nielsen(以下MN):まず、有名なレコーディングで使用されたプリアンプから始めました。例えば、CAE3+はVan Halenが少し使っていましたし、Bogner FishはAlice In Chainsが使用していました。ADA MP-1はNuno Bettencourtが「Get The Funk Out」で聴かせたあのトーンです。サウンドを作る上で、非常に良い目標設定になりました。

Sonic Drive Studio gear collection

IK:なぜTONEXを選んだのですか?

MN:以前からAmplitubeが好きでしたし、IKのミキシング・プラグインも長年愛用していたので、IKがトーンキャプチャーの世界に参入すると聞いてとてもワクワクしました。TONEXの魅力は、他のプロファイリング機器では再現しきれないようなトーンをキャプチャーできる点です。キャプチャーされたトーンには、深い奥行きと豊かな倍音が含まれています。間違いなく、キャプチャー技術の次世代レベルですね。

IK:TONEX用にプリアンプのサウンドを調整する際のアプローチは?

MN:まず、パワーアンプをセットするか、Friedmanのヘッドを通してキャビネットに繋ぎます。素晴らしいサウンドを作るだけでなく、どんなギターが使われるか誰にも分からないので、複数のギターでも通用するように調整することが重要です。プリアンプの良さを最大限に引き出すために、パワーアンプを変えて試すこともよくあります。また、DI経由で直接IRに通し、その状態でもうまく機能するかを確認します。

IK:これらはDIキャプチャーですね。お気に入りのIRはありますか?

MN:IRの作成は、実はそれほど単純ではありません。完璧なサウンドが作れたと思っても、パワーアンプを通してスピーカーからキャプチャーし、それをIRに変換する過程で、トーンが変わってしまうことがあります。そのため、大量にIRを作成した中から厳選しています。今回のプリアンプ・キャプチャーでは、パワーアンプのサウンドを含んだIRを作成しました。トーンキャプチャーを読み込んでこのIRを適用すれば、フルラックのリグに近いサウンドがすぐに得られます。

IK:現在、新しいコレクションを準備中ですか?

MN:先日リリースしたアンプコレクションの一つは、Carstens Amplificationのハイエンドなアンプでした。Brian Carstensと協力して納得のいくものに仕上がり、みんな満足しています。彼らの他のアンプも手掛けたいですし、レアなプリアンプも追加していきたいと考えています。

IK:話を最初に戻しましょう。ギターを始めたのはいつですか? なぜギターだったのでしょう?

MN:中学生の頃、短期間に3回もギターの衝撃を受けたことがきっかけです。父が映画『クロスロード』を見せてくれて、スティーヴ・ヴァイとの壮絶なギター・デュエルに圧倒されました。その後、友達の家に遊びに行ったら、彼がWhitesnakeの87年のアルバムを聴かせてくれて、ストラトをRockmanに繋いで弾いてくれました。その素晴らしいサウンドが信じられませんでした。それですっかりギターの虜になり、それ以来ずっとギターに夢中です。

IK:初期の影響を受けたギタリストは誰ですか?

MN:子供の頃、『Guitar For The Practicing Musician』や『Guitar World』といったギター雑誌が、素晴らしい機材や新しいスタープレイヤーを知る唯一の情報源でした。毎月雑誌を読み、中古レコード屋でそのプレイヤーのアルバムを探すのが日課でした。そのおかげで、幅広いジャンルの音楽を聴いて学ぼうとする姿勢が身につきました。私にとって、トーンとフレーズは切り離せないもので、その両方を兼ね備えたプレイヤーに惹かれました。スティーヴ・ルカサーは私にとって特に大きな存在です。数多くの楽曲に参加し、自身のソロも素晴らしく、さらに背後には巨大なラックシステムを従えていましたから!

IK:最高のライブと最悪のライブは?

MN:かなり昔のことですが、国際的なポップディーヴァのツアーのオーディションを受けました。完璧に準備して臨んだのですが、ドラマーが演奏を開始した途端、全く違うテンポとフィーリングで驚きました。結局、ダンス・リミックス版の音源を渡されていたのが間違いで、オーディションは原曲で行われたのです。もう散々でしたよ!

最高のライブは、私ではなく他の誰かがギターを弾いていた時です。ブルースロックの実力派、Philip Sayceのアルバムをいくつかプロデュースしたのですが、彼との共同作業はいつも最高です。非常に創造的で、純粋な音楽体験ができます。

IK:プロとして音楽の道に進もうと決心した瞬間はありましたか?

MN:20歳頃から幸運にも音楽を仕事にできています。バンド活動からエンジニアリング、ミキシング、作曲、プロデュースへとステップアップし、現在は作曲を中心に活動しています。日々の仕事はゲームや予告編、コマーシャル向けの音楽制作のほか、YouTubeでのギターコンテンツ制作、そしてTONEXコレクションのようなギター・トーンのデザインですね。

IK:ギターを始めたばかりのプレイヤーに一つだけアドバイスをするなら?

MN:最近のギター事情は私が始めた頃とはずいぶん違います。今の子たちは非常にしっかりしていて、まずは曲を大切にしています。私が始めた頃は、機材やテクニックが曲と同じくらい重要でした。もし若い子と話すなら、つい面白い機材を教えて沼に引きずり込もうとしてしまいますが、ベテランプレイヤーにアドバイスするなら、「とにかく曲を演奏しよう」と伝えます。

IK:ゲーム、映画、アーティスト、YouTubeなど多方面で活躍されていますが、媒体ごとにアプローチは変えていますか?アイデアはどこから得ていますか?

MN:媒体によって全く違います。YouTubeの場合は、ギターサウンドを引き立てつつ、音楽的にも楽しめるものを目指していて、そこにテクニカルな要素を一つ混ぜられれば面白い動画になるかなと。他の劇伴制作ではギターを使わないことも多いですが、例えば「Immigrant Song」のような、あの心に刺さるエネルギーを、オーケストラやシンセでどう表現できるか、といった感情的なアプローチを大切にしています。

IK:お気に入りのギターを3本教えてください。

MN:

  1. Lollarピックアップを載せたLes Paul R8は、何でもこなせる素晴らしい一本で、ずっと愛用しています。
  2. 一番よく弾いているのはShabatのギターです。最近のモデルはテレキャス・シェイプで、ハムバッカー2発にフロイドローズを搭載しています。ネックは理想通りに作ってもらいました。彼らの作るギターはどれもスタインウェイのグランドピアノのように美しく響きます。
  3. 最近、オリジナルのスタインバーガー(ヘッドレス)を手に入れました。まさに80年代という感じですが、驚くほど音が良く、弾きやすいです。グラファイトネックはチューニングが全く狂いません。

IK:ギターアンプに求めるものは何ですか?

MN:アンプに繋いだら、すぐに入り込めるものが好きです。良いトーンを作るために頭を悩ませなければならないと、フラストレーションが溜まってしまいます。AC30でもFriedmanでもADA MP-1でも、何でも構いません。素晴らしいアンプには個性があり、私はその個性に自分の演奏を合わせるのが好きです。プリアンプが好きなのも、リグの個性を簡単に変えられるからです。

IK:機材はどれくらい重要ですか?

MN:私にとって機材は非常に重要です。高価である必要はありませんが、素晴らしい音がすることが条件です。最近はインストゥルメンタルの曲を作ることが多いので、楽器の音色がとても大事です。音には感情が宿ります。ある特定のギターサウンドが人を遠ざけることもあれば、惹きつけることもあります。リスナーに特定の感情を抱いてもらいたい時、こうした音響情報は極めて重要です。ハードウェアかソフトウェアかは重要ではなく、とにかく「バイブス(雰囲気)」を届けられる機材かどうかを重視しています。

IK:もし無人島に持って行くなら、アンプ1台、キャビネット1台、ペダル3つは何を選びますか?

MN:

  • アンプ:Friedman BE100。Dave FriedmanがBEチャンネルとDirty Shirleyチャンネルに改造してくれた、私のメインアンプです。
  • キャビネット:80年代のMarshall 412。下の2つにVintage 30を、上の2つに20WのGreenbackを載せています。私のIRの多くはこのキャブをベースにしています。
  • ペダル:ズルいかもしれませんが、プリアンプをすべて持ち込めるのでTONEXを選びます。あとはRevvのTilt Boostがお気に入りで、最後にもう一つズルをしてLexicon PCM70を持ち込みます。

IK:成功を収めているYouTubeチャンネルですが、「BHG」という名前の由来は?

MN:友人に「BHAG(Big Hairy Audacious Goal:大胆で野心的な目標)」を持っているか聞かれたのがきっかけです。達成したいと願う遠大な目標のことです。私の目標は、自分が育った時代にヒーローたちが使っていた素晴らしい機材をすべて試すことでした。それにヘアー・メタルのイメージを組み合わせて「Big Hairy Guitars」になりました。

IK:YouTubeチャンネルを始めたきっかけは?

MN:スタジオでは常にA/Bテストをして、機材を比較しています。比較してこそ、その音の真の個性が分かるものです。他の人もこのスタジオオタク的な実験に興味があるのではと思い、始めました。初期はリバーブやラック・ディレイ、古いプリアンプの比較や、往年のアルバムのトーンを再現したりしていました。そのうちに素晴らしい機材を作っているメーカーの方々と知り合い、「デモを作りましょうか?」と声をかけるようになりました。動画制作は習得が大変で、初期の動画はピントさえ合っていませんでしたよ!音以外は酷い出来でしたが、今はだいぶ上達したと思います(笑)。

IK:多くの機材をデモされていますが、レビューのアプローチは?

MN:動画制作にあまり多くの時間を割けないので、好きではない機材に時間を無駄にしたくありません。基本的には自分が気に入った機材しか紹介しません。まあ、あまりの酷さに逆に面白いという理由で紹介したケースはありますが。アンプに関しては、一度に持てる100Wヘッドの数にも限りがあるので難しいですね。その点、プリアンプは場所を取らないので利点があります。私は15台ほどの素晴らしいプリアンプを持っていますが、友人のMichael Torenは世界一のプリアンプコレクターと言えるほどなので、私にないものがあれば彼が確実に持っています!

IK:YouTubeチャンネルでの楽曲も素晴らしいですね。曲作りのプロセスはどのようなものですか?

MN:ありがとうございます!機材にプラグインした瞬間にアイデアが湧いてくることもあります。その時のインスピレーションを録音しておくことが非常に重要です!翌日に思い出そうとしても無理ですから。スケッチを書き出して、パートを発展させていくスタイルですね。20分間ソロを弾いて全部かっこいい、というタイプではありません。少し即興して、練り上げて、また即興して、編集という作業を繰り返します。

IK:ギター機材は今後どう進化していくと思いますか?予測はありますか?

MN:キャビネット・モデリングと小部屋の響きのモデリングには、まだ改善の余地があると思います。部屋でアンプを鳴らすと立体的で最高な響きなのに、SM57で録音した瞬間に平凡な音になってしまうことがよくあります。このギャップを埋めるのが次なるハードルではないでしょうか。

IK:今後リリースされるプロジェクトや動画などの予定はありますか?

MN:常に映画の予告編音楽に取り組んでいて、最新作はNinjaTracks.comで聴けます。あと、1年以上かけて大手Microsoftタイトルの劇伴を制作しています。今年末には公開されますが、詳細はまだ話せないので、もうしばらくお待ちください。近いうちに!